レーザー彫刻機を使ったPCB基板作成
レーザー彫刻機を使ったPCB基板作成(2)
レーザー彫刻機を使ったPCB基板作成(3)
Laser Engraving PCB (4) : 浮島削除(clean non copper area)
KiCADで自動ルーティング(freerouting)
Laser Engraving PCB (5) : 疑似リフローハンダ付け
Laser Engraving PCB (6) : ビア(VIA)打ち
基本的なレーザを使った自作PCBのワークフローについて記載していたが、もう一歩進んで、"両面基板"作成のワークフローについて備忘録を残しておく。
1. テスト用回路について
PICを使ったLチカ回路を実際に作成してみる。スルーホール、表面実装の部品が混在しているケース。複雑性、挟ピッチなどの精度検証は今回は問わない。純粋にどうやって両面基板を作成するのが良さそうなのかを検証しつつ、ワークフローを確立しておくのが目的。
今回も回路設計は、KiCAD、加工パス作成はFlatCAM、レーザ制御はLaserWebを使っている。(変更なし)
プリントパターンを示す。赤色が表面、緑が裏面になる。中央付近の白い穴が表と裏をつなぐビアになる。注意点としては、製品レベルのものと違って、穴がメッキ化されるわけではないので、どうにかして裏と表を導通させる必要がある。その場合、以下の方法でスルーホール化させる。
- ビア穴を空けたら、ワイヤを通してはんだ付けする (Laser Engraving PCB (6) : ビア(VIA)打ち)
- ナットリベット(M0.9x2.5mm、Amazon)を通して、オートポンチなどでスルーホール化
- サンハヤト製スルピンキットを使う
現実的なのは、1か2である。
あと、ヘッダピンなどは構造的に裏側からしかはんだ付けできないので、裏面で配線するなら特に問題ないが、ピンヘッダ側から配線する場合は、上記の方法でスルーホール化させないと導通しない。
3Dイメージ、タクトスイッチなんて不要かもしれないがとりあえず。電源ピン、Pickit4などで書き込みするヘッダを用意している。よくよく考えるとLEDが光ることしかできない。せめて出力品ぐらいあったほうが良かったかもしれない。。裏面には部品実装は今回はないです。
表面のパターンのみ表示
裏面のパターンのみ表示
準備
今までのワークフローと基本同じですが、今回は裏面のガーバーデータも出力している。
ドリルデータの出力。特記事項なし。
基板の外周と含めて、4ファイルをFlatCAMに取り込む。
FlatCAMで取り込んだら、ガーバーファイルごとに色を変えておくと視認しやすくなる。下図の場合、表面が緑、裏面が青になっている。
両面彫刻するためのLaser彫刻機の準備
両面をレーザーで彫刻するとなると、裏返したときにちゃんと表面との位置関係がピッタリあってないと基板作成できない。後述するFlatCAMの機能に合わせて、位置決めするためのピンを2箇所立てるようにした。
HOMEポジションからの定位置2箇所(100mm, 50mm)と(130mm, 50mm)に2mm径のシャフトを差し込んでいる。
後述する2-Sided Toolでは、この中心線で裏返すようにする。
基板の裏返しイメージ
2-Sided Toolで裏側パターン作成
2-Sided Toolを選択する。
裏面のガーバーデータを選択
おおよその基板の中心位置をクリックする
Mirror OperationでAdd
をクリックすると、最後にプロットした座標位置が選択される。この位置が裏返しツールの基準位置となる。
次に対照となる位置決めの座標を選択する。今回はLaser側で30mm間隔でピンが立っているのでその半分位置を選択する。以下の例だと、Reference点のX方向に-15mmしたところをクリックする。
+Add
を選択
すると、クリックした位置とReferenceを中心とした対象点がプロットされる。これが裏返すときの穴の位置になる。
Mirror
ボタンを選択すると、カレントのガーバーデータがReference点を通る縦軸で対象移動(裏返し)する。
いつもどおり、Isolation Toolで加工パスを生成
ドリルデータについては、実際の穴径ではなく、中心点だけほしいので、小さい円を彫刻するようにパスを作成する。
Excellon Object
画面はちょっとわかりづらくて、Tools Table
から先端工具を1個選ぶ。(何でも良い)
そして、彫刻する円の径を、
彫刻する円の径[mm] = ツール径[mm] - Milling Diameter[mm]
で指定する。0.1mmの円パスで加工したい場合、
0.1 = 2.0 - Milling Diameter[mm]
Milling Diameter[mm] = 1.9[mm]
を入力して、Mill Drills
を実行すると、加工パスが生成される。
ドリルの加工パスは片方で良いので、表面と一緒に加工する。
裏側
生成されたGeometry ObjectからDXFファイルをSave
コマンドで出力する。
Laser Webで彫刻する
あとは従来どおりの手順で実行するだけだが、表面、裏面の2パターンに分けて加工パスを生成する。
とりあえず表面だけのパスで加工する。
裏返してピン留めした後、裏側を彫刻する。
まとめ
ずらずらと手順を残したが、ポイントはピン留めする位置をちゃんと定義して、その位置で裏返した加工パスが作成できれば、あとは表を彫刻して裏返してその裏側の加工パスでまた彫刻すれば良いだけ。
慣れるまでは、わりと混乱するのと、レーザーのHomingと原点設定をやらないと、エッチングしてドリルで穴空けたときにズレが発覚してがっかりする。
上の回路図から修正が入っているが、ほぼ同じ内容のものを実際に作成してみたのが以下。ちゃんと書き込みとか実装も動いていることは確認ずみ。
リベットでビアを表現しているが、前回の投稿のようにスズメッキ線を使ったVIAのほうがもう少し挟ピッチで作成できる。