NEJE Master 3500mWというレーザー彫刻機を入手しました。自作PCB基板作成のワークフローをいろいろ模索しています。
レーザー彫刻機を使ったPCB基板作成
レーザー彫刻機を使ったPCB基板作成(2)
前回までの活動で、LaserWebとNEJE Masterの組み合わせでなんとか問題点をクリアしたと思ってます。そこで、これらのワークフローをまとめて実際にエッチングまでやってみようかと思います。
テストデータ
ただショボい回路しか作成できない自分の回路ではなく、以下のMade With KiCadのリンクから製品のガーバーデータをダウンロードして使います。
http://kicad-pcb.org/made-with-kicad/
0.5mmピッチのQFP64パッケージを使った回路がありました。このレベルの精度が出せれば、自分の場合申し分ないしです。48mm x 30mmぐらいの大きさでテストにはちょうどいいです。
https://github.com/ciaa/Hardware/blob/master/PCB/pico/gerbers/picociaa-F.Cu.gbr
FlatCAMでガーバーデータからDXFに変換
直接KiCADからDXFファイルを生成することも可能だが、ガーバーデータからFlatCAMでGeometry作成したほうがスピードも速かったのでこのフローとする。
FlatCAM パラメータ | Value | 備考 |
---|---|---|
Tool dia | 0.1mm | 実際これくらいの径になる |
Passes | 2 | 1パスだとかなり細いので、クリアランスを設ける意味でも2パス以上 |
Pass Overlap | 0.2 | 隙間に削り残しがないように少しだけオーバーラップ |
Combine Passes | ON | パスを1つのファイルにマージする |
もう少しオーバーラップさせてパスにしたほうが良いかもしれない
LaserWebにDXFファイルを取り込む
FlatCAMで作成したDXFファイルを取り込んだ後、適宜位置を調整する。図では+Y方向に配置しているが、―Y方向に配置したほうが良かった(NEJE Masterは原点から―Y方向にワークエリアがある)
すでにFlatCAMで外周方向にオフセットしているので、このままDXFファイルのパスの上をレーザーが彫刻すればいいので、Laser Cut
を選択する
LaserWeb パラメータ | Value | 備考 |
---|---|---|
Cut Mode | Laser Cut | DXFファイルのパスをなぞるだけ |
Laser Power [%] | 0.1mm | とりあえずフルパワー |
Passes [times] | 1 | 1回で銅板まで到達できれば1回でOK怪しい場合は2回 |
Cut Rate [mm/s] | 10 | NEJE Masterで設定できる最速スピード |
G-Codeの生成
G-code欄のGenerateボタンを押すだけではあるが、注意点としてこの工程ものすごく時間がかかるので、パラメータを調整しておいたほうが良い。Core i7 3GHz(Iviy Bridge)で30分以上。
Settings
-G-Code
タブ内のGCODE GENERATIONS THREADS
は最大の5、円近似は0.4程度(最適かどうかは不明だが、デフォルトの0.1はパフォーマンスが悪化する)
あとはGenerateボタンを押して、Gコードが生成できたらRunで彫刻を開始する。
後処理
彫刻が終わったら、燃えカスを除去する。クレンザーと歯ブラシでゴシゴシと縦横に磨くだけ。そんなに強くやる必要はない。
研磨剤が入ったクレンザー
適量を基板につけて、歯ブラシでゴシゴシ
同じ回路を彫刻した結果。上が外周1パスのみ。下が外周2パス。明らかに下のほうが太く彫刻されていることが分かる。
1パスのみでも十分かもしれないが、クリアランスが明らかに少ない。
2パスでも配線間の中央に若干のカスが残っている。FlatCAMでDXFファイルを作成する際、オーバーラップを0.1ぐらいにしたほうが良いかもしれない。
2パスの結果。0.5mmピッチでクリアランス0.2mmの狭ピッチでも問題なく作成できている。
エッチング処理
上記で作成したクエン酸溶液で今回もエッチング処理を行う。適宜ドライヤーで温めたり、袋の上からもんだりして、反応を促進させる。塩化第2鉄よりも反応は鈍い気がするが、100均とか薬局ですべてそろう。
反応が済んだら、黒の塗膜はアセトンで除去する。(100均のエナメルリムーバーでもよい)
PCB基板作成完了
2パス基板のエッチング結果(結果良好)
2パスのほうはしっかりエッチングされている感じ。欲を言うと3パスぐらいがベストかもしれない。
塗膜が弱くてかすれたりしているところもなし。
やたらと反応の悪い箇所があったが、黒スプレーする前に十分磨いたほうが良かったかもしれない。
1パス基板のエッチング結果 (結果不良)
反応がなかなか促進されない印象があった。レジストされてない面はある程度必要なのかもしれない。
十分にエッチングされてない箇所が随所にあり繋がったまま。1パスはダメだと思われる。
まとめ
- 結局、FlatCAM、LaserWebの連携によるDXFファイル作成がベター?
- 2パス以上の彫刻を実施して、非レジスト面積は可能な限り十分にとる
- レーザー彫刻機と黒スプレーの組み合わせで十分に狭ピッチに対応できる
- G-code作成は時間がかかる。
今後の課題
- 両面基板の作成フロー(裏表面の位置合わせぐらいかも)
- スルーホールのドリル穴空けの効率化
以上