別に使い切ったわけではないのですが普通の黒色のPLAを試してみたくて、久々にPLAのフィラメントを買いました。購入したフィラメントは、J&T製のもので3Dプリンタの本体も発売しているメーカの純正?フィラメントです。
購入したのは以下のフィラメント。
今でも黒色PLAフィラメントは、「三菱ケミカルメディア Verbatim」を持っています。Verbatimは普通のPLAとちょっと質感が違って「粘りがある」感じでちょっと癖がある気がします。悪くはないですが、もう少しカチッとしたものがほしくなってきたわけです。(つまり普通のPLA)
いろいろ試していて好みの色はやっぱりグレーや黒が自分的にしっくりくるのですが、前回購入したPETGの黒色フィラメントSUNLU PETG 3Dフィラメントが評判良かったのですが、テカテカしていてちょっとダメでした。(愛着がわかない。。)
艶消しタイプのものだと、ハイグレード系だとProMattとかありますが、ケタ違いの値段で手が出ません。ほかにもカーボン入りのPLAとちょっと迷ったのですが、ノズルの消耗が激しいと言われているのと、安物カーボンPLAだと含有量が少ない(ある意味摩耗しづらい?)らしいので、まずは王道で何か良いものがないか。。ということです。
J&T製 3Dプリンター用 PLAフィラメント黒色を試す
スプールのシールに刻印されている温度は190~220度と、いたって普通です。Amazonレビューにはなにも書いてないので、素直に試してみます。
袋の中にクリップが付いてました。ちょっと好印象。
- 温度チェック
以前作成したテストモデルを使います。高さ10mmごとにスリットが入っているモデルで厚さは1㎜と2mmのL字型です。Simplify3Dで10mmごとに設定を変えて印刷します。
まずは、温度からチェックします。下から230度、220度、200度、190度で、ほかのパラメータは以下になります。
ノズル径[mm] | 射出量の乗数 | レイヤー高さ[mm] | リトラクション[mm] | ベッド温度[℃] | 基本スピード[mm/min] |
0.4 | 1.0 | 0.2 | 15.0 | 60 | 1500 |
ピンセットでつまんでいるところが、一番下の230度になります。ぱっと見わかりづらいですが、仕様レンジの中間が一番具合が良さそうです。200~210度あたりです。190度はちょっと低いかな?と思います。もちろんほかのパラメータも影響するとは思いますが。
別のアングル。基本的にフィラメントの質を疑うような感じはないです。安価ですが、悪くないです。へんなテカリ具合はないです。もう少しマットだと嬉しいですが。上記の設定だと積層痕がちょっと目立ちます。(写真はあえて光を当てて撮影してます。黒だとそうしないと表面分からないので)
リューターとか紙やすりでラフに磨いてみたところ。ABSよりはもちろん硬いですが、滑って削れないようなことはないです。積層間の結合力も脆くはないです。ABSだと同モデルでガリガリ削るとスリット間でポキッと折れたりしたけど、丈夫でいい感じです。
ただ削ると白っぽくなります。硬めなのでABSよりは仕上がりは良くないですが、「意外と削れる」といった印象です。あと、このPLAもABSほどではないですが、アセトンで割と影響を受けます。筆でアセトンを塗ると、積層痕が良い具合に消えます。ただ、フィラメントに何か混じっているのか、所々白濁化します。
あと、射出量の乗数が1.0だと、設計よりも10%ほど厚くなりました。なので1.0はちょっと大きい気がします。
- 設定を変えてトライ
前回の結果で、積層痕が少し目立ったので、次は温度を210℃に固定して射出量、レイヤ、スピードを変えてみる。
1段目 | レイヤ0.2mm, 速度1500mm/min |
2段目 | レイヤ0.2mm, 速度2000mm/min |
3段目 | レイヤ0.1mm, 速度1500mm/min |
4段目 | レイヤ0.1mm, 速度2000mm/min |
ほかの共通設定
ノズル径[mm] | 射出量 | リトラクション[mm] | ノズル温度[℃] | ベッド温度[℃] |
0.4 | 0.8 | 15.0 | 210 | 60 |
ピンセットでつまんでいるほうが1段目(レイヤ0.2mm)です。射出量を減らしたので表面が若干平滑化している気がします。レイヤ0.1mmだとさすがにキレイで積層痕が目立たないです。印刷時間が増大しますが、やっぱりキレイです。
平滑化したものの、若干ポツポツ途切れている?感じです。
厚さがレイヤ0.2mmだと、設計2mmの場合が1.95mm、1㎜の場合が0.99mmという結果に。
厚さがレイヤ0.1mmだと、設計2mmの場合が1.92mm、1㎜の場合が0.95mmという結果になった。
速度は2000mmと1500mmで差が小さかったのか、ほとんど違いなし。もっと早くても良いかも。
- 設定を変えてトライ(その2)
上記の結果を踏まえて、射出量を少し増やして0.85に設定。ノズル径の設定を0.4mmと0.35mmに設定して比べてみる。速度は上げても良さそうだったので3000mm/minに設定。
1段目 | レイヤ0.2mm, ノズル径0.4mm |
2段目 | レイヤ0.2mm, ノズル径0.35mm |
3段目 | レイヤ0.1mm, ノズル径0.4mm |
4段目 | レイヤ0.1mm, ノズル径0.35mm |
ほかの共通設定
射出量 | リトラクション[mm] | ノズル温度[℃] | ベッド温度[℃] | 速度[mm/min] |
0.85 | 15.0 | 210 | 60 | 3000 |
印刷結果。ピンセットでつまんでいる箇所が1段目。
写真では、前回と違いが判らないですが、前回よりも仕上がりは良いです。
肉眼だとレイヤ0.2mmの場合は2段目、レイヤ0.1mmの場合は3段目が良かったです。
厚さはどちらも設計2.0mmの場合が1.95mm、設計1.0mmの場合が0.95mmでした。
とりあえずこのフィラメントでの設定まとめ
- レイヤ0.2mmの場合(ノズル径の実寸0.4mm)
ノズル径[mm] | 0.35 |
射出量の乗数 | 0.85 |
リトラクション[mm] | 15.0 |
ノズル温度[℃] | 210 |
ベッド温度[℃] | 60 |
印刷厚さ[mm] | 設計2.0mmの場合が1.95mm、設計1.0mmの場合が0.95mm |
- レイヤ0.1mmの場合(ノズル径の実寸0.4mm)
ノズル径[mm] | 0.4 |
射出量の乗数 | 0.85 |
リトラクション[mm] | 15.0 |
ノズル温度[℃] | 210 |
ベッド温度[℃] | 60 |
印刷厚さ[mm] | 設計2.0mmの場合が1.95mm、設計1.0mmの場合が0.95mm |
曲面モデル(スカル)
レイヤ0.1mmで曲面モデルを印刷してみました。あごの下などはサポート材を追加(設定デフォルト)しています。頭の幅15mm程度に縮尺して印刷。大体1時間ぐらいです。
ノズル径[mm] | 射出量の乗数 | レイヤ[mm] | インフィル[%] | リトラクション[mm] | ノズル温度[℃] | ベッド温度[℃] |
0.4 | 0.85 | 0.1 | 30 | 15.0 | 210 | 60 |
まぁキレイです。FDMの宿命か最後の頂点部分が汚いです。重要な箇所は頂点にならないようにしたほうがいいです。
サポートはデフォルト設定だと結構ユルいのでわりとすんなり除去できるけど、それだけ底面が荒れます。キツめにすると綺麗になりますが、除去が難航します。
筆でアセトンを塗って積層痕を消してみます。シェイプを維持したまま積層痕だけ消えます。やすり掛けよりも良いかも。ただこのフィラメントだからなのか、白濁する箇所があります。サフ吹きや塗装すれば気にならないですが、そのままの場合はちょっと注意です。
値段も安くて割と良いかもしれないです。というか最近のPLAフィラメントはこんな感じなんでしょうか?
このフィラメントでノズル0.2mmでも試してみました。
Snapmaker:0.2mmノズルに交換