ディファレンシャルギアについて
ラジコンや模型用のディファレンシャルギアがどんなものが販売されているかAmazonとかで見てみると、以下のような、1/10スケールのタミヤラジコンにちょうど良いサイズのものしかないのと割と高価です。また、ミニ四駆向けにワンウェイホイールというものもありますが、前進しかしないミニ四駆向けなので、小型ラジコン作成には不向きです。
そこで、前回につづいてデフギアを3Dプリントできないか検討してみました。ポイントとしては、
- なるべく小型にしたい
- 研磨やバリ取りなどの2次加工は割り切ってやる精度で良い
です。実際にモーターと連結して走って見ないとその真価はわからないですが、まずは噛み合わせ部分のディテールが気になります。いけそうなのかをまず検討して見ました。
かさ歯車のモデリング
平歯車に関しては、前回作成しましたが、今回ポイントとなるのが**かさ歯車**です。チョコレートのアポロみたいに円錐状の形をしていて、直角に接したかさ歯車同士がピッタリ合わないと回転しないです。Fusion360のアドオンでも良いのがなく、適当にモデリングして見ましたが、とても無理だったのでちゃんと計算することにしました。
歯車の寸法はちゃんと公式みたいなのがあるようです。これを元にモデリング開始。
小原歯車工業(株) 歯車の寸法計算-かさ歯車
同じ歯数のマイタギアではなく、歯数の違うかさ歯車が直角に噛み合う構成にします。ギア比は適当ですが、少なすぎると噛み合わせ悪そうだし、多すぎると径が大きくなります。前回の感触から歯数を12と26ぐらいでやってみることに。
まず小さいほうを作成します。モデリング方法は割愛しますが、試行錯誤した結果、
- 歯数から円錐の先端角と中心からの距離が決まるので歯を包含するような円錐を作成
- 歯幅や歯丈は平歯車と同じ公式から求めてスケッチで作成
- 円錐モデルに投影して、テーパー角-3degほどで押し出した形状を歯として、円形パターンで歯数だけコピー
という流れになります。(これじゃあ分からないと思いますが)
歯の形状にはインボリュート曲線という手法で作成すると、滑らかに噛み合うようですが、今回作成するギアはギリギリまで小さくしたものなので、どうせこの手法モデリングしてもプリント時になくなってしまうので、適当にフィレットがけしただけです。大きなギアを作成するときは採用すると良いかもしれないです。
モジュール0.5のかさ歯車は難しい?
結論から先に書くと、0.5のかさ歯車はノズル0.4mmでは印刷するとディテール落ちまくりでした。かさ歯車の場合、先端側が細くなっていきます。平歯車でもギリギリだったので、この先細った歯の印刷結果は許容を超えていました。そこで、かさ歯車だけはモジュール0.7でモデリングしたところどうにか?いけそうでした。
### モーターと噛み合う平歯車の作成
こちらはモジュール0.5で作成しました。歯数を決めるというよりも、小径のかさ歯車が4個入るギリギリの大きさにしたところ、歯数46ぐらいになりました。4個入る穴を開けて、軸を入れる溝も追加します。軸は1.75mmの径にして、フィラメントを小さく切って使ってみます。どこかのサイトで短い軸をフィラメントで代用していたアイディアを借用します。(短いし、横方向の応力もあまりかからないはずなので使えそう)
アセンブリの断面が以下になります。ここはとりあえずでまだ検討中です。おそらくシャフトを通したり、ハウジングのようなものが必要になるはずです。
Simplify3Dで印刷設定を行って印刷します。ポイントはオーバーラップを80%ぐらいまで上げて、なるべくディテールを再現させます。
印刷結果はまぁまぁ良いのではないでしょうか?もちろん射出成形した製品とは比較にならないですが、普通に機能するレベルです。少し回転が渋いかな?という感じですが、慣らし回転させたりグリス添付でいけそうです。印刷した歯車の歯を軽くヤスリがけして、黒いフィラメントをニッパーで切断して軸として、組み上げていきます。
とりあえず、2.0mm径の穴を開けてあるので、ミニ四駆のシャフトを通してみました。
残念ながら、平歯車の径がミニ四駆のタイヤ径を超えているのでミニ四駆との互換性はないです。(モーターぐらいしか使う気はもともとないですが)タイヤもフレキシブルフィラメントを使って印刷する予定で、だいたいホイール径は30mmぐらいになる予定です。
とりあえず、いけそうです。
ほかのデフギアについて
以下のサイトでミニ四駆?向けのボールデフを自作されている方がいます。とても精巧ですばらしいです。今回作成したデフギアよりもさらに小さくできるし、かさ歯車が不要ですが、両側からスプリングで圧力をかける必要があります。ボール部分が滑ったりしないのかがちょっと気になりますが、参考になります。
あと、レゴ・テクニックのデフギアです。こちらもオールプラスティック製なので、3Dプリントの参考モデルとして相性が良いです。
Thingiverseにあったもの