本題のフィラメントの反りについて格闘しました。
第1層目のベッドへの定着について
とりあえず、エンクロージャは準備できましたが、プラットフォーム面をどうするか再考しました。ネット情報を見ると、ベッドへの定着に有効と思われるものをまとめると以下になります。ただし、有料の専用シートを使ったものは除きます。(買う気が今のところないので)
まず試したもの
ABSはVerbatim ABS(グレー)、ベッド温度は80℃です。
- カプトンテープ+花王ケープ(3Dエクストラフォーム)
- カプトンテープ+スティックのり(シワなしPIT)
ABS利用では、必ず出てくる鉄板方式です。結論からすると、私の環境では全くダメでした。ヘアスプレーを使う手法は海外サイトでもたくさん出てきますが、何度やってもくっつきませんでした。ひょっとするとベッド温度が100℃前提かもしれないです。工夫する気も起きないぐらいダメで、スプレーは奥様にプレゼントしました。
スティックのりを使った場合も、ひどい目にあいました。
糊がダメなのではなく、組み合わせやキャリブレーション不足?(そんなはずはないと思っているが)で以下のように塊がモジュール内に入り込んで、モジュールをオーバーホールして塊を80W半田コテで溶かして除去しました。
これも後々考えると、カプトンテープの継ぎ目のところから敗れた気がします。もっと幅広のテープを利用すれば、ここまでひどい結果にはならな買ったはずですが、固着するほどのパワーはなさそうでした。
再発防止策として、カプトンテープをモジュールの隙間に貼って侵入を防ぐことにしました。
この時はさすがにちょっと凹んで、CNCモジュールに変更して別の検討をしてました。。
次に検討したのは、
- カプトンテープ+ABSジュース (ベッド温度80℃)
ABSジュースは、アセトンに失敗作のABSフィラメントを溶かしたものを作成して、カプトンテープに塗布するやり方です。わりと昔からある方式です。
効果のほどですが、ベッド温度80度でも絶大でした。
ただし、これも問題があって、あまりにも固着し過ぎて剥がせなくなり、結局テープごと取り換えになりました。手間とランニングコストでNGです。絶対に失敗したくないタイミングでは良いかもしれないです。だけど剥がれない。。。
この方式の場合、ベッド温度をもっと下げたほうが良いかもしれない(60℃ぐらい)のと、薄い弾力のある変形しづらい金属板に張り付けて、湾曲させて作品をペリペリ除去する方法が取れれば、かなり良いと思います。ジュースの濃度は適当ですが、アセトンがフィラメントの色で濁るぐらいです。スラリーと呼ばれるもっと高濃度のものを塗布する例もありましたが、そこまでは不要じゃないかと思います。
次に試したのが、
- 銅板(0.5mm)+花王ケープ(3Dエクストラフォーム)
ヒートベッドの上に銅板を置いてクリップ止めしたうえにプリントする方式です。割と成功例があったので、藁をもつかむ気持ちで試しましたが、、ダメでした。全く1mmも付きません。表面温度を測定すると、ベッド温度80℃に対して、銅板が60℃でした。密着してないのか、それともヒートシンク状態で放熱してしまったのか不明ですが、温度が伝わってないのと、60℃でもダメだとやる気なしです。
とにかくスプレーが私の環境ではダメですね。絶賛されているのに。。ひょっとして、VerbatimのABSと相性悪いのかもしれないです。
やっと光明が差す?テープ系だがしかし。。
次にマスキングテープを試してみます。
- カプトンテープ+ブルーテープ+シワなしPIT(スティックのり)
このテープですが、ただのマスキングテープ?に3Dプリンタのキャッチフレーズを付けただけで2000円。。ぼったくられ感がありますが、表面はエンボス仕様でザラザラしていて強度もいい感じにあるので、悪くはないです。手持ちのマスキングテープよりも粘着力もありました。
効果のほどは、テープ+糊の相性が良いのか、PLA、ABSともによく定着します。使ってて一番安定感があります。エンボス加工されたテープなので、ある程度のノズル間の誤差も吸収してくれそうです。PLAとABSどちらも使えて、安定感があるのが一番ポイント高いです。印刷中にポロっと脱着することは、今のところ一度もないです。
だがしかし
ABSの反りには負けました。フィラメントとテープ+糊の間は離れないですが、マスキングテープの粘着が負けて、印刷物の外周が浮きます。このため、印刷物の外周がわずかですが反ってしまいます。
分かりますかね?印刷物の外周にあたる部分のテープがぷっくり膨らんでいます。反りに負けてブルーテープがカプトンテープからはがれて浮いているのです。印刷物の外周もその分平面ではなくなっています。だいぶ惜しいのですが、構造物によってはNGになってしまいます。
次の改善ポイントとしては、ブルーテープの糊をもっと強くすればいいわけです。ここが剥がれなければ、反りに勝てます。ここでピンと来たのが、プライマーというものです。
プライマーは、テープのついたシートなどを木材など元々テープがくっつかない材質に張り付けたいときに下地に塗布するものです。専用の液体が売ってますが、室内扉の木目調シート(3Mのダイノックシートなど)を張り付けるときに代用方法として自作したことがあります。
代用しようとした製品は以下のものです。
代用方法は、下記のアサヒペンのうすめ液を使ってコニシボンドG17を溶かすだけです。
濃度は適当ですが、ボンド1に対して、うすめ液が3ぐらいです。
飴色の液体になったら、カプトンテープ上に刷毛かなにかで塗布します。さらっと塗る感じでいいです。そうするとすぐにうすめ液が蒸発して、カプトンテープ表面が曇ったようになります。あとはここにテープを張るだけです。
試しにアルミ板の上にカプトンテープを張り付けて、自作プライマーを塗布した上にブルーテープを張り付けて剥がすテストをしました。劇的に。。とは行きませんが、この小さいテープですら、プライマーを塗布してないものより明らかに固着していたので、「これはいける!」と手ごたえありました。
つまり、以下のような層とパラメータになります。
- シワなしPIT
- ブルーテープ
- プライマー(G17+うすめ液)
- カプトンテープ
- 3Dプリンタのヒートベッド(アルミ製)
- スタイロフォームの自作エンクロージャ
- ノズル温度230℃、ベッド温度80℃
結果は、反りに打ち勝って成功しました。初回は特に表面がフラットなので結構固着して剥がしづらいですが、良い感じです。剥がした後のブルーテープの浮きも、数回試してますがまだないです。
印刷ごとにPITのりの塗りなおしをするので、ゴツゴツしてきます。この場合は少量の水で糊を延ばすとまたフラットで密着性の良い面が回復するのが良いです。10回以上印刷してますが、ブルーシート面のヘタレがまだないので、市販シートよりも優秀かもしれない?