レーザー彫刻機を使ったPCB基板作成 Laser Engraving PCB

NEJEアプリを使ってDXFファイルから彫刻する

自作PCBのワークフローを模索しています。前回はDLPプリンタとドライフィルムを使った方法を検討しました。結論から言うと、現像時にフィルムの剥がれもあったり、露光の時点で狭ピッチが埋まってしまう問題が解決できなくて、ちょっとないかなぁと思ってます。

DLP式3Dプリンタを使ったPCBプリント基板作成

0.5mmピッチ、配線幅0.25mm程度のパターン作成を目標としてます。滅多に使わないですが、最近のICは小さいです。まだあきらめきれてないので、今度はレーザ彫刻機が気になってたので、入手して試してみます。

入手したレーザー彫刻機 NEJE Master 3500mW

同じメーカーではないですが、Amazonで売られているものだと以下と同じタイプです。このタイプの良いところは、レーザーデバイス部分が3.5W、7W、20Wの3種類が用意されており、単体で中国サイトなどで購入できて拡張できます。

先に言ってしまうと、こんな安いレーザー彫刻機で目標とする0.5mmピッチの彫刻が可能な精度が出ます

ネタとして投稿しませんが、実は今回は3.5Wの弱い出力タイプを購入しました。なぜかというとこの3.5Wだけ波長が405nmです(ほかは450nm)。ピンときた人もいると思いますが、出力弱くすればドライフィルムの感光ができます。

それを狙って試してみましたが、そのまま照射するとDLPプリンタよりもひどい光漏れでした。フィルムに黒マジックで塗りつぶすと光漏れはなくなりますが、以下の方法のほうが精度が良かったのでドライフィルムを使う方法は一旦あきらめます。

艶消しブラックの塗膜を焼いてパターンを作成する

レーザー光が反射して減衰しないように艶消しブラックのラッカースプレーを銅板に塗布して、レーザーで塗膜を焼いて露出したところをエッチングする方法です。

すでに色々な人がやってます。

https://www.instructables.com/id/Custom-PCB-Prototyping-using-a-Laser-Cutter/

どのくらいの精度なのか疑問でしたが、やってみてなかなかすごいかったです。これでイケる!と思いました。

0.5mmピッチ、配線幅0.25mmパターンをレーザー彫刻してみる

ワークフローの検証は今も続いているので、割愛してとりあえずどんなものかを残しておきます

KiCADで0.5mmピッチのQFP64パッケージのフットプリントと数本配線を引いたパターンからガーバーデータを作成します。laser_pcb01-F_Cu.gbr

flatcam_laser02

FlatCAM(ベータ版のver8.97を使用)で取り込んだら、ツール径0.1mm(CAD形状からどれだけオフセットするかに影響する。実際のレーザー光のスポット径はよくわからないです)で、とりあえず1~3パスのジオメトリをそれぞれ作成して彫刻結果をあとで比較するつもりです。

1パス版 laser_pcb01-F_Cu.gbr_iso.dxf

3パス版 laser_pcb01-F_Cu.gbr_iso_3pass.dxf

通常はここからCNC向けのGcodeを作成しますが、そこまではやらないです。ジオメトリからDXFをエクスポートします。

flatcam_laser03

出力したDXFはそのままNEJEの専用アプリで読み込むことができます。(スケールも一致してます)

flatcam_laser05

調整するパラメータはごくわずかです。今回使用する3.5Wレーザーの場合は、フルパワーで問題ないです。というかちょっと弱めな気もするので、回数を2回でやりました。(7Wであれば1回で済むかもしれないです。20Wはさすがに強すぎて塗膜や銅板に悪影響ありそう)

Parameter Value 内容
Laser Power [%] 100 レーザー出力量で使用するレーザー装置に依存する。今回は3.5Wを使用
Burning Time [ms] 100 焼く時間です。つまりこの値を大きくすると、「長い時間照射する」ことになり、結果的にスキャン速度が遅くなります。
最も強い熱量でターゲットを焼く場合は、この値とLaser Powerを最大にします。
Times 2 何回同じパスを通過するかを指定します。2を設定すると、1回の実行を2回やるだけです。

銅板をスプレーで均一に黒くします。今回はたまたま家にあったアクリル系の艶消しブラックです。ラッカー系との差は今度比較してみますが、アクリル系でも問題なかったです。ネット上ではラッカー系が多いです。ムラがあっても問題ないですが、気泡はなくさないとダメです。数回塗布しました。(1回だと銅板が透けている箇所があった)

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ジオメトリのパスの数、レーザー照射回数(Times)などを少し変えて検証開始。

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レーザー加工終了直後は、照射した部分には焼かれた塗膜が残ったままです。研磨材が入ったクレンザー(ジフ クリームクレンザーなど)と歯ブラシなどでゴシゴシ掃除すると、銅板が露出します。細いパターンなどが切れることはなさそう(ドライフィルムよりも圧倒的に楽)

以下の試行したサンプルを載せときます。目標となる0.5mmピッチのパターンがあっさりできました。。もっと汚い彫刻結果になるかと思っていたので、驚きです。

flatcam_laser06

Timesは2回ぐらいが安定していい気がします。熱密度を大きくするためにスポット径を最大まで手動で絞ってますが、そうするととても細い彫刻になるので、数本のオフセットパスを増やしたほうが、太く彫られます。このワークフローの検討は今後も進めていきます。

NEJE Masterについて

  • 造形エリア

まず、造形エリアは150㎜ x 150mmまでです。PCB目的で購入したので十分の広さですが、大判の紙や革などのカッティングパターンの彫刻であれば、ちょっと小さいかも。

MDFに造形エリアのグリッドを彫ってみました。

neje_master01

最大600mm角ぐらいの加工ができる機体も存在しますが、価格も安いので目的に応じた大きさのものを購入したほうが良い気がします。PCB目的であればちょうどいいと思ってます。

  • 剛性

見ての通り、XY方向をそれぞれ1本のアルミ製フレームで片側で支えています。特にレーザー装置が固定されている軸は、高速に移動するとブレます。なので余り早い移動で加工すると精度が低下するので注意です。PCB目的というのものありますが、基本ゆっくりスピードで加工が必要です。

本体はとても軽いので、加工を続けると移動するのでは?と心配になったので、採寸して3Dプリンタで足を固定するパーツを作成しました。

neje_master02

一応、付属品の中にねじ止めするL字の金属パーツがあります。ねじ止めで良ければ付属品で済みます。

  • 精度

個人的には満足です。ブレないようにあまり早いスピードでは加工しないほうが良いです。

  • 専用ソフト(NEJE)

ちょっとショボいですが、このソフトにNC加工のパラメータ云々を期待してはいけない気がします。どちらかというと、そういうのを抜きにして画像をインポートすると好きな大きさで刻印できます。ぐらいの手軽さをウリにしていると思います。

http://wiki.nejetool.com/doku.php?id=nejelaser_master

GRBL?制御にも対応しているっぽいので、NC加工レベルの制御が必要なら別のソフトウェアを使うほうが良いです。(今後検討する)

NEJEアプリのDXF, NCデータのデータサイズ制限

大きめのDXFデータを使って彫刻を開始すると、以下のようなメッセージが表示される。

gcode_error

サンプルは以下のサイトから各プロジェクトのデータを拝借

http://www.kicad-pcb.org/made-with-kicad/

https://github.com/AntonioMR/ATMEGA328-Motor-Board

ガーバーデータをFlatCAMでパスを1つ作成して、DXFにエクスポートしてNEJEのアプリで読み込む。同一スケールで読み込まれるので、このまま実行すると。。

gcode_error01

以下のようなエラーがでます。Gコードの命令が多すぎるとのこと。減らして制限以下にするとちゃんとEngravingされるんですが、この制限はとても残念です。

gcode_error03

極端に大きな回路をチョイスしてやってみたわけで、自分がこんな大作を作成できると思ってないですが、この回路と比較しておおよそ5分の1程度まで減らさないと、DXFやNCなどのベクタデータからは印刷できないです。

gcode_error04

ここまで減らしてやっと実行できる感じ。ちゃんと表示もできてて、精度良く彫刻できるのになんでこんな制限入れているのか謎です。小さな回路であれば、FlatCAMで0.1mm程度のオフセット線を2~3パスほど追加して実行すれば綺麗な回路が作成できます。

なので、このアプリを使う場合は、加工パス(またはエリア)を画像にして実行する方法がベストだと思います。