3Dプリンタのフィラメント検証(ABSとPLAの使い分け?)

色んなメーカのフィラメントが手元にあるわけではなく、使用しているフィラメントの使用感を備忘録的に残しておこうかと思います。

登場するフィラメント

VerbatimのABS(シルバー)とPLA(ブラック、レッド)、そしてSnapmakerに付属していてたPLAフィラメント(白)のみ。

VerbatimのPLAは研磨できるとの評判が良かったので、その同じメーカーのABSと購入してみました。価格も中央帯なので、このあたりからまず入手したわけです。

三菱ケミカルメディア
価格
¥ 3,542 (update 2018/1/2)
発売日
2017-09-08
ASIN
B00SZDBB16
三菱ケミカルメディア
価格
¥ 3,542 (update 2018/6/30)
発売日
2017-09-08
ASIN
B00SZDBAMQ

SnapmakerのPLAは下記で直販しています。各社オリジナルで販売しているので、わざわざ別の機体を使っている人が購入するかは微妙なところですが一応掲載。
snap_fil01-1
https://store.snapmaker.com/product/pla-filament

Snapmakerで使用した温度

フィラメント ノズル温度
SnapmakerのPLA 190-210℃
VerbatimのPLA 190-230℃
VerbatimのABS 200-230℃

今回行うテストの趣旨

予め、どのモデルでも適当なモデルをネットからDLして印刷してみましたが、品質的には全然問題ないです。

まず自分がどんなものを印刷したいのかを考えると、キャラクターフィギュアなどは今のところ考えていないです。どちらかというとラジコンカーのシャシーやモーターやその他部品のマウントなどのメカニカルな部品や構造物?を考えています。

だとすると、優先すべき点は以下をターゲットとします。

・反りや収縮がどの程度なのか?
数値化は難しいですが、せっかくCADで設計しているのに出力された造形の設計精度が低いと困ります。プラモデルほどのものは全く期待してないですが、印刷した後に大幅に手直しするようでは使えないです。

・積層間の結合強さ、曲げたときの硬さや脆さはどうなのか?
見た目キレイに印刷できたとしても、ちょっと曲げ応力を加えたときにペリペリ剥がれたり割れたら使えないです。あと設計精度誤差を考慮すると、カチカチ過ぎてもちょっとどうなのかな?とも思います。

・2次加工はどうなのか?
サンドペーパーによる研磨、リューターによる研磨や切削、あとは作成した穴にタップでねじ穴を作成できるのか?などを検討。ねじ穴を直接印刷するのもありですが、M2~M4ぐらいまでは、タップ用の穴をあけて2次加工でも良いと思っています。

・積層痕はどの程度なのか?
欲が出てくると、積層痕が目立たないほうが個人的には良いです。印刷パラメータで変わるとは思いますが、どんな条件だとどうなるのか?も検討したい。

・塗装はできるのか?
塗装というか、サフェーサーがちゃんとのるのかが重要ポイントになりそう。時間があったらやる感じ。

Simplify3Dで調整するパラメータについて

スライサーはSimplify3Dを利用する。設定できるパラメータが大量にあるが、とりあえずSnapmaker用のパラメータファイルをベースに以下のみを調整する。

パラメータ 備考
ノズル径 基準値0.4mm。射出量と射出幅の組み合わせでどうなるのか?
射出量の調整(乗数) 基準値1.0。割合で増やしたり減らしたりできる
射出幅 基準値0.4mm。ノズル径と、積層ピッチで決まってしまうようなパラメータだが、指定ができる。変更するとどうなるのかは気になる。Simplify3Dだと自動にすると、ノズル0.4mmだと0.48mmにもなる。
リトラクション距離 基準値6.0mm。デフォルトより多め
リトラクションスピード 基準値2500mm/mins デフォルトより速い
基本レイヤー厚 基準値0.2mm。Snapmakerでは0.05mmまで設定できる。
インフィルの割合 基準値20%。強度に影響してくる。
インフィルのアウトラインの重ね度合い 基準値25%。デフォルトより多め。
インフィル時の射出幅 基準値120%。デフォルトより多め。
ベッド温度 基準値は、PLAの場合60℃で、ABSの場合は80℃。
ノズル温度 フィラメントに依存する。
基本プリントスピード 基準値は2500mm/min。
薄壁生成時の動作(外面) 1周のみの壁造形を許可とする。細かいディテールが省略されてしまう場合は、外周のみに変更したほうがいい。
薄壁生成時の動作(内部) 1射出での埋めを許可とする。
薄壁生成時の動作(重ね度合い) 基準値20%としている。

柱状のモデルを用意して、Simplify3dで高さ事にパラメータを変えて、
最適なパラメータを検討する。高さ10mmごとに印刷パラメータを変更して印刷する。10mmごとに溝が入っているモデルで厚さ1mmと2mmのL字形状をテストモデルとする。

test-model0701

フィラメントごとに印刷結果がかわるのか、色によっても違うのかを試せる範囲でやってみる。「このフィラメントを使うときはこの値」みたいなものが決めれるのが理想。

CM180701-113638002

最適な温度を検討

レイヤ0.2mmで、190~220℃に変化させて印刷してみる。

Snapmaker標準PLA(白)

190℃では糸引きが多く、ほかは糸引きなし。200℃以上であれば、差はほぼないが210℃ぐらいが一番表面が均一な気がする。

snap-pla1-02-1

SnapmakerのPLAはVerbatimに比べると硬め。190℃あたりが黒っぽいのは、直前に黒色フィラメントを印刷していた為。品質が悪いわけではない。Verbatimよりもエッジが利いていて全体的にシャープな仕上がりになる。
snap-pla1-03-1

レイヤーを0.1mmにして印刷した結果。とてもキメが細かくなる印象で表面はよりフラットになる。が220℃だと層間が小さくなる分熱の影響を受けやすいのか、220℃だと折り返し部分が荒れてしまう。

snap-pla2-01

Verbatim PLAの使用感

まずは、一番利用しそうな黒色を検証。ネット情報だとVerbatimのPLA黒は、ほかの色よりもざらついていて失敗しやすいと言われている。確かにざらっとしていて、Verbatimの赤、ナチュラル(半透明)と比べると、印刷開始時になかなか出てこないことが多々あるので、ブリムやスカートを多めに印刷する。助走を長くする必要がある。

verbatim-pla1-01

verbatim-pla1-03

続いてピッチを0.1mmにした場合
verbatim-pla1-02

0.2mmと比較した場合はもちろんだが、SnapmakerのPLAと比較しても若干キメの細かさに差がある。

verbatim-pla1-04-1

そこまで神経質にならなくても、適度な温度で安定した出力ができる感じがする。反りもほとんどなし。ブルーテープ+のりで失敗がない。

参考に赤色も出力してみた。
黒色よりもスムーズに印刷される印象で、難易度が低そう。ネットでもそんな記述があったがその通りだと思われる。あと、積層痕が目立たない気がする。

verbatim-pla1-06

裏側の部分は、ほかのPLAと同じように190℃だとちょっと糸引いていた。が、全体的にキレイに印刷される。
verbatim-pla1-07

ネットから拾う情報だと、「PLAはものすごく硬くて研磨できない。ABSのほうが。。」という記述が多くて、自分の中でも「PLAはダメな子なんだ」という印象をもっていたが、反りづらいし、それなりに撓るのである程度の弾力がある。積層間の結合もこっちのほうが強いので、目的としている構造物にはPLAのほうが向いてそうな印象。

ただし、研磨しづらいのは確かで、「Verbatimは研磨できる」と言われているが、「ABS以下PLA以上」でそこそこできるぐらい。あまり研磨を当てにする造形はしないほうがいい。結合が強いので、サポート材が除去しづらい印象があるので、作り方が重要になってくるはず。この値は次回以降に検証することになる。

Verbatim ABSの使用感

まずは積層ピッチ0.2mmについて、PLAと比較すると、硬さはなく弾力がある。その為か、積層痕もPLAよりも少なく手触りもフラットな感じである。設定温度が低いせいか、200℃のところでパキッと割れてしまった。ほかのABSを知らないのだが、220℃近辺で印刷したものでも、力を加えるとメリメリ音を立て積層方向に割かれてしまう。VerbatimのこのABSは同社のPLAに比べて積層間の結合力が弱い。お互い溶けて溶接されてない印象を受ける。パラメータを工夫する必要がありそう。

verbatim-abs1-01-1

verbatim-abs1-04

積層ピッチ0.1mmで印刷した結果。よりキメが細かくなり、表面も滑らかになった。
幅広い温度で安定して印刷できている。
verbatim-abs1-02-1

ただし、Verbatimも例外なく、収縮率が普通のABS並み?で反りが発生している。

verbatim-abs1-03

弾力や適度に撓りがあって、ねじを使わないツメではめ込むような構造に向いてそうだが、積層間の結合がちょっと弱いのと、反りが強いのがネック。パラメータ調整次第かもしれないが、構造物の形状はちょっと苦手なのか?反りは仕方がないという見方が一般的だが、積層間でパリパリ裂けてしまうようではちょっと使えないという印象。どうにかしたい。あと、別のABSでもそうなのかは知っておきたい。

まとめ

独断と偏見で

フィラメント 積層ピッチ 温度
Snapmaker PLA 0.2mm 210-220℃
Snapmaker PLA 0.1mm 200-210℃
Verbatim PLA 0.2mm 200-220℃
Verbatim PLA 0.1mm 200-210℃
Verbatim ABS 0.2mm 220℃
Verbatim ABS 0.1mm 210℃

テストデータがとても単純なので、上記の温度でやればすべてOKではないが、平面の多い構造物の印刷をメインで考えると、テストデータが連続しているケースは多いはず。

次回は、上記の結果が良かった温度に絞って、エクストルーダーのパラメータを変更して、層間の結合力に差が出るのかを検証する。